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2008年3月24日 (月)

植物エネルギー 第166話 ~「気」って何?~

「気」って何?

 漢方の一番の基礎にして最も大切な「気」のお話をします。漢方薬をご専門にされている先生方には釈迦に説法、未熟な解釈になるかもしれませんが、ご容赦いただきたいと思います。
 そもそも日本という国は、四方を海に囲まれ、気候は温暖湿潤、自生する植物が豊富。そこに湧き出るきれいで美味しい飲み水を私たちはいつもがぶ飲みできる。私たちの生活に欠かせぬ水がこんなにも豊富にある国は世界中探してもそう多くはありません。しかしながら、水に囲まれているということは、いつも水によって影響されているということです。これを漢方では水毒といいます。水によって胃腸が冷えているので、日本人の多くは脾虚(胃腸が冷えていて口から取り入れた食べ物から「気」を練ることができない)といわれています。「ハッキリ意思表示できない」、「早起きできない」、「争い事が不得意でなんとなく物事を治める」。こんなタイプの方、言われてみればけっこう多いのではないでしょうか?ハッキリと言葉に出して意思表示できない代わりに、お互い表情から何を考えているのかを読み取ったり、文字や絵にしてお互いになんとなく理解する能力が身についています。漢方で最も大切な「気」を読む能力と言っても過言ではないでしょう。日本人は世界中で最も人、自然の「気」を読む能力に優れた民族ということができると思います。
 私たちが日常使う文字、言葉その一端をみることができます。思いつくままに、「気」という文字を使った言葉をざっと並べてみました。

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 詳しく調べるとまだまだたくさんあるのでしょうが、私たち日本人は普段からなにげなく「気」という字を使ってコミュニケーションをとっていることにあらためて気づかされます。
 これは、太古の昔から国土全体に色々な植物が豊富に自生し、四季(春夏秋冬)の区別があって、身近な植物たちと共に生活してきた日本人ならではの特性ではないかと考えられます。その年の細かな四季の変化や植物たちの成長具合を読み取る能力は、人同士の感情の読み取る力を自然に向上させたのではないでしょうか。「気」という文字のつく文字の中で『元気』と『病気』。この2つは薬学の中に身をおく私たちにとって一番頻繁に使われるし、身近な言葉でしょう。西洋医学的な『元気』というのは、最先端の科学技術を駆使した各種検査方法で異常なしという状態のことです。「人間は生物学的に皆同じ」。だから、1つの基準を設けて、その値から異常値が出れば『病気』、もしくは『病気』に近い状態ということになります。お医者様からは「気をつけて下さいね」と言われたりします。科学やそれに基づく西洋医学の発達は、感染症の撲滅、栄養状態、衛生状態の改善など、人間の脅威にとなる現象を解決する手段として今日の人類の発展に大いに貢献してきました。ただ、残念ながら、素敵な物事に対する科学的エビデンス、尺度、数値化することに対しては少々苦手なようです。例えば人の『心の元気度』とか、人それぞれの「色々な物事に対する感動の尺度」とか、地球に対する「愛する心の数値化」などに関してはまだまだ人間の五感の方がかなり優れています。
 私は、最先端の科学技術を駆使した西洋医学的な各種検査などで一応は判断できる『身体の健康度』チェックだけでは高度に発達した物質文明の中に生きる現代日本人には不十分ではないかと考えています。今、日本人に一番求められているのは『心の元気度』チェックではないかと思っているのですが、いかがでしょうか?
 漢方では『心身一如』というとても大切な考え方があります。「心の元気」なくして「身体の健康」はないと解釈することができます。逆に言えば「身体に症状となって現れた病気は何か心の病から発生している」とも解釈できるのです。そこで、『心身一如』という考え方を現代風に、漢方での元気、病気を通して私なりに解釈してみました。

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  「気」とは、その人の心のエネルギーと考えても良いでしょう。で、その人一日の心のエネルギー量を100とすると・・・毎日一生懸命生きれば生きるほど・・・「気」、心のエネルギー量が減小し、色の濃い部分が増えます。「気を使う」、「気にする」、「根気がなくなる」・・・。嫌な人に会う、嫌な目に合う、落ち込む・・・、一生懸命に生きれば生きるほど心のエネルギー量が減少します。しかし、このことはその時一生懸命生きた証でもありますから、気持ちが沈んでも自分自身で一生懸命生きた自分を褒めてあげなければなりません。その減った「気」、心のエネルギーを元に戻す、補うことが元気ということです。元に戻す、補う方法は人によって異なるはずです。ここが西洋医学的解釈と大きく異なる部分です。科学、西洋医学的には「人は皆同じ」という1つ尺度を設けなければ何事も判断できません。それに対して、漢方の考え方では100人の人がいたら「100人全員が異なる生命体である」ということが基本になります。どちらも必要な概念ですが、根本的な概念が全く異なるのです。いずれにしても、消費した「気」を元に戻す方法は人それぞれで異なることは当然のことです。音楽を聞く(どんな音楽かも人によって様々です)、写真を見る(どんな写真を見るかも人それぞれです)、お風呂に入る・・・etc・・それは自分自身しか知らないということです。自分が何をすれば感動するのかは本人しか知らない。人の受け売りでは本当の意味で心が元気になるとは思えません。毎日消費した「気」を元に戻すことを怠って、何年も放置しておくと・・・棒グラフの色の濃い部分がどんどん増えて・・・気の病・・・やがては症状が体に現れる・・・これが病気ということになるのではないでしょうか。
 ところで、薬という意味を日本国語大辞典(小学館)で調べてみとおもしろい事が書かれていました。

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 現代社会においては薬の意味を2番目のみであるかのように思っている日本人が多いように感じられますが、実は他にも3つほど大切な薬があるようです。1、3、4番目は身体の健康を維持する薬というよりは、心の元気に維持する薬になります。
 漢方の基本的な考え方をさらに応用して、もう少し具体的に心を元気にする現代の薬とは何かについて考えてみました。これまで述べたことを簡単にまとめてみると「気」=「大地に流れる生命エネルギー」=「心のエネルギー」=「心を元気にする薬」ということになると思います。「気」という言葉には色々な言い方があっても良いのではないかと考えています。いずれにしても、毎日一生懸命に生きるために使った心のエネルギーを補充するためには、私たちが自ら、五感(目、口、耳、鼻、肌)を使って能動的に大地に流れる生命エネルギー(「気」)を感じ取ることが必須であるように思えます。長々と書いてしまいましたが、一言で言えば、毎日、大地のくれるステキな贈り物に対する「感動」と「感謝」が、消費した「気」を補う最良の薬であり、高度な物質文明社会の中に生きる私たちにとって、今、最も必要なことであるように感じているのは私だけでしょうか。
 毎日の生活の中で、いくつ感動と感謝の気持ちを持てるかが、その人の心の元気度を測る一番のバロメーターであるように思えてなりません。
 

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 例えば口から取り入れる感動について考えてみましょう。本来「食べる」ということは口から感動、「気」を取り入れることだったはずですが・・・。2000年以上の歴史を持つ日本において、庶民が白いお米をフツウに食べることができるようになったのはつい60年ほど前からです。それまでは言いにくいことですが、現在の私たちの食生活に比べると、ほとんどの人が全てにおいて貧しい生活を送っていました。「生きるために食う」、「食うために生きる」。そんな時代がずーっと長く続いていたのです。したがって、現代に生きる私たちは、もうすでに、大昔の貴族たち以上の食材を毎日口から取り入れているはずです。ということは、身体の中に前に進もうとする素敵なエネルギーが毎日湧き上がってきているということになります。なのに、何のために生きるのかを考えようとしない、分からない・・・では、その素敵なエネルギーの行き場がなくなって身体の中に溜まって、邪気に変化していく。そして、西洋医学的な色々な病気になっていく。
 まとめると、昔よりもはるかに豪華で素敵なものを食べる=毎日素敵な心のエネルギー「気」が湧き上がる⇒それを感じない、「食う」ために生きていた時代の考え方で生きる⇒ステキな「気」は、よどんで邪気に変わる⇒長年それを続けていると気の病になって、西洋医学的な色々な病気を引き起こす。こう考えることはそれほど間違っていないはずです。

 最後に漢方の教科書に書かれている一般的な「気」についても図にまとめてみました。

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 親から譲り受ける生命エネルギーが「先天の気」。これは腎に溜まっています。そして地上に生を受けた後、自分で獲得していく生命エネルギーが「後天の気」です。「後天の気」には、鼻から肺に直接入る「天空の気」と口から入ってくる「大地の気、水穀の気」があります。「天空の気」というのはさしずめ、ステキな空気、香りなどと考えても良いでしょう。「大地の気、水穀の気」とは食材と水のことです。脾というのは胃腸と考えてください。この臓器は素敵な「気」=「精気」とそれ以外のものをより分け「精気」だけを肺に送る臓器のことです。肺で「天空の気」と「精気」が出会って、「真気」=「元気」となって全身へ巡っていくことになります。先に述べたように、日本人の多くは豊富にある水によっていつも胃腸が冷やされている状態ですから、「精気」を練ることができず脾虚の傾向が高いのです。
 ところで、「気」とは人間を生かすための生命エネルギーで目には見ることができないと書かれているのですが、本当にそうなのでしょうか?この4年間ほど「絶対に見たい!」そう思い、カメラを持って北海道中の森や山へ出かけ色々な植物の輝く瞬間を撮り続けてきました。そして「地球に息づく全ての植物こそ、気そのものことではないか」と思えるようになりました。次回は目に見える「気」と「気のめぐり」=理気についてお話したいと思います。

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