« 植物エネルギー 第242話 ~写真展「北の大地からの植物エネルギー」 at 東武百貨店(宇都宮)~ | トップページ | 植物エネルギー 第244話 ~第3回、写真講評会&キャプション講習会~ »

2008年10月 1日 (水)

植物エネルギー 第243話 ~漢方薬用植物講座 ~私の常備漢方薬 その2~

 これまでの人生の中でこれほど忙しかった一月は無かったように思えます。なんと・・・9月に植物たちと会話したのがただ一度だけ!!!旭岳に行って以来、一枚も写真を撮りませんでした。腰痛もあったし、歯茎の調子も下がったし・・・少し走りすぎましたか(笑)。

 でも・・・10月もなんか忙しい予感です。なんかワクワクしますね。襟裳岬に2回、名寄市に1回・・・やっぱ忙しそうですね。あまり先のことは見ないようにしましょうね(笑)。目の前に一歩を大切に!遠くを見つつも。焦らず、騒がず、惑わず、諦めず、自分にとって、目の前の一番大切な一歩は何かを確認できれば・・・だいじょ~ぶ!!!デス。

 さて、北海道薬剤師会から以来されている毎月5000字の原稿(10回連続)もついに9回目となり・・・残すはラスト1回になりました。軽い気持ちで引き受けましたけど・・・結構きつかったですね。でも・・・すごく自分自身のためになったことは間違いありません。で、せっかくですから11月の原稿をブログにアップしちゃいます。

 長いですが読んでみてください。題して「私の常備漢方薬~その2~」。その1は植物エネルギー233話に掲載してあります。こちらデス。

私の常備漢方薬~その2~
1. はじめに
 漢方薬用植物講座もいよいよ9回目、本稿を入れてあと2回の執筆を残すだけになってきました。あと2回、お付き合いくださいませ。
 前回の第8回目では、私の基本的「証(しょう)」に合わせた漢方剤、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)と桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)についてお話いたしました。100人の人がいたら100人とも全て異なる「証(しょう)」がある。皆さんはいったいどんな「証(しょう)」なのでしょうね。本稿ではその他の私の常備漢方薬についてお話しさせていただきます。香蘇散(こうそさん)、桂枝麻黄各半湯(けいしまおうかくはんとう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、五苓散(ごれいさん)、十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)、葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)について順に解説させていただきます。

2.カゼ(風邪)に用いられる漢方方剤
 先ず、私たちの一番身近なカゼ(風邪)に対する漢方方剤を紹介しましょう。
 急性期のカゼの症状(悪風、悪寒、熱発、咳、痰、水様鼻汁など)に用いられる漢方方剤をざっと上げると・・・、桂枝湯(けいしとう)、葛根湯(かっつこんとう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、大青竜湯(だいせいりゅうとう)、麻黄湯(まおうとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、真武湯(しんぶとう)、香蘇散(こうそさん)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、参蘇飲(じんそいん)、麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)などなど。その他、亜急性期には柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)、小柴胡湯(しょうさいことう)、六君子湯(りっくんしとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、麦門冬湯(ばくもんどうとう)・・・と、書ききれないほど、まだまだあります。カゼ(風邪)と言っても、100人いたら100人とも「証(しょう)」が異なりますので、様々な漢方方剤が処方されます。そこで先ず、急性期のカゼの症状の時の漢方処方の一般的な目安についてお話します。先ず図1をご覧になって下さい。

Blg1

                   図1
 6つの漢方方剤は桂麻剤(けいまざい)と呼ばれ、桂枝湯(けいしとう)が基本になり、そこに麻黄が配されています。いずれも、カゼ症候群や急性熱性疾患の初期症状(太陽病)である悪寒(おかん)、悪風(おふう)、発熱、頭痛、鼻閉などの表証(ひょうしょう)に用いられます。寒邪(かんじゃ)や風邪(ふうじゃ)によって体表面が閉じられ、熱がこもった病態で、発汗(発表・発散・解表(げひょう))させることで、病邪や病毒を体外に追い出して健康体に戻します。表証を解除する方剤ですから、解表(げひょう)剤(ざい)とも呼ばれます。
 この6つの桂麻剤を使い分ける大まかな指標が図1に示されています。1つは発熱時の自然発汗がある(+)かないか(-)。その次に、関節痛、口渇、煩躁(はんそう)、頭痛、項背痛(こうはいつう)、喉のチクチク感、悪風、冷え、寒気などのある無しによって使う漢方方剤が決まります。先ずは、カゼのような急性熱性疾患(太陽病)の場合には自然発汗のあるなしは重要なポイントになります。自然発汗のあるタイプは全身の「気」が足りないので、汗が漏れ出てくると解釈されます。これがすなわち虚証ということになります。自然発汗ない場合は実証と判断されます。
 本誌5月号でお話させていただきましたが、そもそも日本という国は、四方を海に囲まれ、気候は温暖湿潤、自生する植物が豊富。私たち日本人は、そこに湧き出るきれいで美味しい飲み水を、いつもがぶ飲みできる。私たちの生活に欠かせぬ水がこんなにも豊富にある国は世界中探してもそう多くはありません。しかしながら、水に囲まれているということは、いつも水によって影響されているということです。これを漢方では水(すい)毒(どく)といいますが、水によって胃腸が冷えているので日本人の多くは脾(ひ)(胃腸が冷えていて、口から取り入れた食べ物から「気」を練ることができない)の方が多いのです。脾虚(ひきょ)の方の多くは、「気」が不足しているので発熱時に「汗が出る」のではなく「汗の漏れ出る」虚証タイプです。漢方薬のカゼ薬の代表といえば葛根湯のように思われがちですが、虚証(きょしょう)タイプの多い日本は、効果的なカゼ薬とはならないのです。実証と虚証の鑑別項目はたくさんありますが、分かりやすい項目を抜粋して図2(佐藤弘:漢方治療ハンドブックより)に掲載しておきました。皆さんはどちらのタイプでしょうね。

Blg2

                   図2
 ところで、私の対カゼ(風邪)用の常用漢方方剤名は・・・桂(けい)枝(し)麻(ま)黄各半(おうかくはん)湯(とう)です。私は基本的には典型的な実証タイプですから、葛根湯が最も効き易いと思っていましたが、あまり即効性がありませんでした。カゼ(風邪)に関しては桂枝麻黄各半湯証(けいしまおうかくはんとう)ということになります。この4年間、漢方の教えを毎日の生活に取り入れるようになってからは、風邪(ふうじゃ)が体の中に入ってきた瞬間(ゾクゾク感とか、一瞬だけ喉がチクチクとするとか・・・)を感じ取れるようになりました。そんな時、桂枝麻黄各半湯(けいしまおうかくはんとう)をお湯に溶かして食前に2回ほど飲むと、風邪が去っていきます。そんな時の桂枝麻黄各半湯(けいしまおうかくはんとう)の味はとても美味しく感じられ、「やっぱり風邪が入っていたんだ」と味から(美味しいと感じる時は体が欲している)も体の状態を確認することができます。
 桂枝麻黄各半湯(けいしまおうかくはんとう)は、発熱時に汗の漏れ出る虚証タイプに用いられる桂枝湯(けいしとう)(図3)と汗の出ない実証タイプの最強漢方方剤である麻黄湯(まおうとう)(図4)との合方漢方方剤です。桂枝湯と麻黄湯の合方としては、桂(けい)枝(し)二麻黄(おう)一湯(けいしにまおういっとう)という漢方方剤もあります。このような漢方方剤は実に多岐に渡りますので、漢方薬の種類はとても多くなるのです。

Blg03

                   図3

Blg04

                   図4
 各々の漢方方剤に配される生薬と各々の生薬の役割については図中を参照下さい。構成生薬に桂枝が配されていますが、これはシナモンのことです。普段からシナモン紅茶やコーヒーなどを飲むのもカゼの予防に効果があります。
 次ぎの漢方方剤を紹介します。私は、ごくたまに、止めようのない水様性の鼻水が出ることもありますので、そんな時は小青竜湯(しょうせいりゅうとう)(図5)を飲みます。また、毎日朝、夕2回ほど、代表的な理(り)気(き)剤(ざい)(体の気の巡りを良くして風邪や寒邪が体内に侵入することを防ぐ。目に見えない「気」のバリアーを張り巡らす)である香(こう)蘇(そ)散(さん)(図6)を飲んでいます。また、講義に行く前や講演前など多くの人の前で話したりする(「気」をたくさん使う)直前にも香蘇散(こうそさん)をいただいています。香蘇散(こうそさん)も虚証向きの漢方方剤ですが、実証の私にも相当効果があります。

Blg05

                   図5

Blg06

                   図6
 虚証タイプの人は紫蘇や生姜を普段の食生活の中にふんだんに取り入れるもカゼ予防に相当効果があると思います。紫蘇は「気」の巡りを良くし、生姜は体を温め発汗を促す重要な生薬です。
 漢方薬は即効性が無いように思っている方も多いのではないかと思います。でも、決してそんなことはありません。自分の「証(しょう)」に合う漢方薬は西洋薬よりも即効性があります。自分の「証(しょう)」はぜひステキな漢方医に診てもらってください。

3.黄連解毒湯(おうれんげどくとうとう)と五苓散(ごれいさん)
 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)(図7)と五苓散(ごれいさん)(図8)も私にとっては無くてはならない漢方方剤です。

Blg07

                   図7

Blg08

                   図8
 実証タイプの私も一過性の水(すい)毒(どく)になる時があります。飲み会です。家では350mlの缶ビール一本で酔っ払ってすぐ眠りについてしまう私なのですが、気の合った仲間と楽しく飲む時は普段の何倍も飲めてしまいます。しかし、翌日の午前中が大変なんです。とにかくビールジョッキーで3~4杯くらい飲みますと、すでに水毒の状態です。なので、飲み始めてしばらくしてから五苓散(ごれいさん)を飲みます。さらに、私は、アルコールの飲み始めるとすぐに顔が赤くなって熱くなります。これは漢方では「火照り(ほてり)」と言います。元々実証タイプですから「火照り」はあるのですが、アルコールを飲むと益々火照ります。ですので、飲み会30分前に清熱剤の黄(おう)連解毒湯(おうれんげどくとう)を飲んでから会場に出かけています。漢方薬を知る以前は、飲みすぎると、次の日の午前中、ひどい二日酔いになっていましたが、今は全くそんなことが無くなりました。50歳を過ぎて、アルコールの代謝能が低下を実感する今日この頃です。この二剤、今後、色々なお付き合いでしょうがなくお酒を飲まなければいけない場面では、益々欠かせぬものとなりましょう。ただし、この2つの漢方薬を飲むと、限度なしにお酒が飲めるといことではありませんからね。お酒を飲むためだけに漢方薬を使うと、必ず植物の神様から天罰が下り、とんでもないことになりますので・・・絶対です!。あしからず! 生き方、考え方、全てを前向きにしたいと思っている人にか・・・効能効果は実感できないでしょうね。これが漢方薬のすばらしいところです(笑)。何かに依存、頼って生きようととしている人には・・残念ながら効いても気づかないでしょうね。きっと・・・

4.十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)
 十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)(図9)。これまた私にとっては欠かせぬ漢方方剤です。

Blg09

                   図9
 十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)に配される生薬のうち、人参(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)の4つは代表的な補気剤(ほきざい)(「気」を補う)である四君子湯(しくんしとう)の重要な構成生薬であり、当帰(とうき)、地黄(じおう)、芍薬(しゃくやく)、川芎は補血剤(ほけつざい)(血(けつ)を補う)である四物湯(しもつとう)そのものです。そして、黄耆で肺の「気」を上げて、桂皮で全身に気(き)血(けつ)を巡らす気血双補(きけつそうほ)剤(ざい)です。臨床では、大手術後の気力・体力回復に用いられることが多いようです。科学的にNK細胞を活性化されることも証明されており、癌患者の手術前に免疫力向上にも使われている病院もあります。
 実証タイプの私が普段この方剤をお湯に溶かして飲むと、とてもまずくて飲める代物ではないのですが、植物調査などで、一日10 Kmくらい野山を歩き回り、400Kmくらいドライブした後に飲むと、この場合はとても美味しく飲むことができ、元気が回復します。時には香蘇散をいっしょに飲む時もあります。いくら実証と言っても、こんな場合には一過性の虚証状態になるのです。ただ十全大補湯の中には地黄が配されていますので、実証タイプでも胃腸の弱い方は注意が必要です。
 長距離ドライブする際には香蘇散と十全大補湯の他に、ハッカ飴やニッキ(シナモン)飴なども「気」を巡らせるために常に常備しています。なかなか効果があります。

5.葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
 最後に本当にたまにしか使わないのですが、葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)(図10)を紹介しましょう。
 葛根湯(かっこんとう)は皆さんご存知の漢方方剤ですね。一般の方にも非常にポピュラーな漢方方剤です。その葛根湯に、辛夷(モクレン科のコブシやハクモクレンの蕾)と川芎(セリ科のセンキュウの根茎)の2つの生薬を加えた漢方方剤です。元々葛(かっ)根(こん)湯(とう)自体が自然発汗の無い場合に発汗を促して寒邪、風邪を排する作用があります。鼻汁を見立てると鼻づまりも鼻汁を体の外に出すことと同じに見立てます。婦人科領域では、産後の母乳の出ないお母さんにやはり同じ考え方で葛根湯が使われることがあるのです。汗=鼻汁=母乳と見立てるところが実に東洋医学的な考え方ですね。辛夷と川?を加えることによって益々葛根湯の作用が首から上の部分に集中することになり、極めて速やかに鼻づまりが解消します。

Blg10jpg

                   図10
 子供ころから鼻の悪い私にとっては、非常に重宝している漢方方剤の1つです。

 以上、私が常用、常備している漢方方剤を紹介させていただきました。なかなかとっつき難そうに思える漢方薬ですが、一度自分の基本的な「証」を理解し、使い始めると、自発的にどんどん勉強してしまします。そしてどんどん新しい漢方方剤を試したくなってしまうものです。さらに漢方の修行を続け、身近な漢方薬のレパートリーをどんどん増やしていくつもりです。

 最後にあらためて・・・自分の「証(しょう)」を自分勝手に判断しないで下さい。絶対です。必ず、波動の合うステキな漢方医に診て貰い、ご自分の基本的な「証(しょう)」を理解しましょう。私も漢方医と勉強会を重ね、日々色々な書物を読み、自分に合うといわれた漢方方剤を飲み、自分の考え方、生き方を振かえり、5年の研鑽をしてもまだまだこの段階です。

 今は、私にとって「いらないものは何も無い!」、そう思えるようになったのも漢方の基本的な考え方、概念です。いやな事、うれしい事、悲しい事、淋しい事、驚く事・・・etc・・・全てです。全ては「気づきと学び」。ですね(笑)。全ては自分がステキになるためにに地球がくれたステキなプレゼントです。と思えるようになりました。

 「大地に流れるステキなエネルギー、波動をいかにたくさん取り入れるか」。これが究極の心の元気=体の健康。というこだけは分かりました。これを極める旅は一生かけて続くのでしょうね(笑)。

|

« 植物エネルギー 第242話 ~写真展「北の大地からの植物エネルギー」 at 東武百貨店(宇都宮)~ | トップページ | 植物エネルギー 第244話 ~第3回、写真講評会&キャプション講習会~ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 植物エネルギー 第242話 ~写真展「北の大地からの植物エネルギー」 at 東武百貨店(宇都宮)~ | トップページ | 植物エネルギー 第244話 ~第3回、写真講評会&キャプション講習会~ »