今日も北海道医療大学・北方系生態観察園の植物たちを紹介しましょう。
北海道の身近な植物たちの中で最も人気の高いかもしれませんね。その名は片栗(カタクリ)さんです。
北方系生態観察園内では蝦夷延胡索(エゾエンゴサク)くんよりも少し遅れて動き始めます。そうですね・・・4月の中旬辺りからその芽出しに会うことができます。
先ずは学名から。Erythronium(エリスロニウム) japonicum(ヤポニクム)といいます。ラテン語名で世界中どこでも通用する名です。Erythroniumとはerythro = 赤といういう意味で、japonicumとは日本のという意味です。
日本語名の片栗の名の由来は色々な説があるようですが・・・(1)花が咲かない葉に、鹿の子模様がはっきり現れることから(石狩当別町の神居尻山のカタクリさんの葉には鹿の子模様はありませんでした)、片葉の鹿の子で、”片葉鹿の子”⇒”堅香子(カタカゴ)”になり、転化して、”カタクリ”になった。(2)片栗の実は、いがの中にある1つ1つの栗の実(タネ)に似ている。栗の実の1つだから”片栗”という。(野草の名前 春 高橋勝雄著、山と渓谷社)
片栗さんは「もののふの、やそ乙女らがくみまがう 寺井の上の堅香子の花」という『万葉集』の大伴家持の歌の中にも登場しています。大昔から人々に愛されてきたのでしょうね。
皆さんはどちらの方がお好みですか?いずれにしても昔から日本人の想像力の豊かさにあらためて感動を覚えます。
ちなみに片栗さんの花言葉は・・・初恋、嫉妬、寂しさに耐える(花言葉ラボhttp://hanakotoba-labo.com/より)。だそうです。
片栗さんも春の短命植物『Spring(スプリング) Ephemeral(エフェメラル)』の代表的な植物さんの1つで、1年を通してその姿を地上に見せているのは4~5週間ほどです。
片栗さんの一生をご覧下さい。先ずは4月中旬の芽出しから・・・
片栗さんの芽出し・・・私は、蝦夷延胡索くんの芽出しのほうが圧倒的に好きです。力強くって・・・。でも、上の2枚な写真なんかは、光の中の芽出し(左)と前の年の枯れ葉を突き破って出てくるパワーある芽出し(右)で、ファインダーの中は元気一杯です。
そうこういってる間にどんどん育って・・・
蕾になっていきます。蝦夷延胡索くんは蕾になったら次ぎの日には開花、なんですが・・・片栗さんはここからが思わせぶりの時間です。ここから開花するまでには数日かかりますので、毎日森の中で出かけます。下の作品の右は私にしては珍しく、さわやかで、かわいらしく、癒し系の作品です。蝦夷延胡索くんとのコラボも時に良し。ですね。
で、いよいよお花が咲きます・・・なんですが・・・
片栗さんのお花はある温度以上にならなければ開花しません。何度かは調べてませんが、虫たちが飛び回れる温度以上だと思います。この小さな植物に大きなお花を咲かせるには、相当なエネルギー(デンプンの消費)を使います。カタクリの元気なお花を見ることができるのは、長くてもわずか3日ほどです。その間に虫たちに飛んできてもらい受粉しなければ、次世代の遺伝子を残すことができませんから、片栗さんたちは必死なはずです。片栗さんのことを知ればしるほど、ファインダーの中は元気印になっていきます。
下の片栗さんは開花直前の様子です。私は開花したお花も好きですが、開花直前の溜まったエネルギーを感じるのが一番好きです。黙って見ていると・・・ここから開花まではわずか2分ほどです。片栗さんの演じるショータイム、来年はぜひご覧になって下さい。
で、この頃になると・・・地面が温かくなり、種から発芽した生まれたばかりの1年ものの片栗さんがたくさん顔を出します。
下の2枚。一番先っぽに黒い粒がついていますが・・・これが種の残骸です。この緑色したひょろ長い片栗さんが太陽の光、大気の二酸化炭素、大地からの水を吸って光合成を始めます。そして、植物たちの全てのエネルギー源であるデンプンを根っこに貯蔵していくのです。これをカタクリ粉というのですが・・・。で、毎年ちょっとずつエネルギーを溜めて、3~4年目で初めて1枚の緑の葉を作ります。さらに・・・5~7年で2枚の葉を作り、その2枚の葉っぱでさらに光合成を進めデンプンを蓄えて・・・次世代の遺伝子を残すための花を咲かせるのに早くても7年、フツウは10年目に開花・・・なんですよ。私も化学を極めようとしていた14年前までは知らなかったことです。片栗さんは山菜としても有名ですが・・・この事実を知った方・・・この10年以上の溜めた植物エネルギーの塊ともいえる片栗さんを食べた以上、ステキにならざるを得ませんよね(笑)。
私は、片栗さんを口から食べてステキになるよりは、片栗さんのことをよく知って、そしてその生い立ちをイメージしながら、ファインダーを覗き、目から感動と元気をいただくことをお勧めします。
で、多くの皆さんに愛されるお花もご覧になって下さい。
下の作品2枚は2006年、富士フイルムフォトサロン札幌で初めて写真展を開催した時の作品です。左は『片栗姫』、右は『片栗の魂魄』と名づけました。目線を片栗さんたちのお花と同じ高さで見てあげて下さい。実に様々な片栗さんのお花に会うことができますよ。
様々なお花を少しだけお見せしましょう。
一般的な図鑑では片栗の花びらは6枚ということになっているのですが・・・・。下の2枚左は11枚、右は7枚。ね、色々な片栗さんがいるんですよ。1年間のうちで3日間しか元気な花を見せてくれない片栗さん。来春、ぜひ色々な片栗さんのお花を捜してみてください。
で、さらに・・・下の2枚。
白い花に薄いピンク色のラインの入った片栗さん(左)。真っ白な片栗さん(右)。これはかなり珍しいかもです。
実が熟してはじける様子(右)と種を運ぶ蟻たち(左)です。片栗の名の由来の2番目の説はこの小さな種が栗の実のようであることからついた名ですね。きっと。
蟻が種を運ぶのは・・・種の先にエライオソームという場所があって、そこがとてもあまーい部分なんです。で、蟻たちはそれをせっせと巣穴まで運ぶ。ということは、蟻たちが森の中で片栗さんの種を植えているということです。この瞬間に出会えたことを神様に感謝しちゃいます。ちなみに蟻たちがこの種を運ぶスピードってものすごく速い。これも来年ぜひご覧になってみてくださいね。森の中に蟻がたくさんいるってことはすばらしいことなんです。
そうそう蟻たちは延齢草くんの種も運ぶんですよ。森の中はいつも感動とサプライズが一杯です。
2006年2月、2008年2月に富士フイルムフォトサロン札幌で開催した写真展の全てを私のホームページ「元気の種」に掲載しています。ぜひご覧になって下さいませ。
2006年2月『植物エネルギー ~ はる・なつ・あき・ふゆ ~』はこちらデス。
2008年2月『植物エネルギー ~ コロポックルからの伝言 ~』はこちらデス。
10月以降の私のイベント(写真展、講演)情報。こちらデス。
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