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2010年12月24日 (金)

1183話 ~身近なモノから化学する(4) ~スパイスの化学 ~

 「身近なモノから化学する」の第4回目です。私の大好きな豚カツ!!!も化学がいっぱ、いつまってます。

 第4回目は、香辛料、スパイス、薬味(日本ではこの方が良いでしょうね)のお話です。

 豚カツを食べる時には、ソースをかけます。それに洋ガラシもつけますよね。あれって・・・、やっぱり豚カツの衣の表面についている、不飽和脂肪酸と酸素が反応してできた有害な過酸化脂質を解毒しているのです。すばらしいですよね。

 そもそもシナモンやクローブなどの香辛料、スパイスは、何に使われていたかというと、私の知る限りミイラ作りです。古代エジプトでは、乾燥した気候を利用して死者の身体をそのまま保存して埋葬する技術が発達しましたが、何せ人間の身体も動物性たんぱく質ですから、放っておくと腐敗するわけです。で、香辛料、スパイスが臓物を取った後のお腹につめられ、ミイラ作りに用いられたのです。現代風に言えば、死者が腐敗しないようにするためのい酸化防止剤だったとうことですね。

 下の図をご覧下さい。

Photo

 さらに、西洋人は肉食が主体です。まあ狩猟民族の末裔ですから、当然そうなりますね。科学技術の発達していなかったその昔には、冷蔵庫も無ければ、氷を作る技術だってなかったはずです。さらに、狩猟民族ですから、どんなに腕の良い猟師といえども、毎日定期的に獲物を獲れたわけではないでしょう。一度獲った獲物は、次の獲物が獲れるまで食いつながなければならなかったはずです。ですが、動物性タンパク質は放っておくと腐敗してしまい、それを食べると病気になってしまう。ですから、腐敗防止剤として香辛料、スパイスは、彼らが生きるための必須アイテムだったのです。またハーブだって、臭い消しの役割をになっていたのでしょうね。

 実際銀1gと胡椒1gが等価交換されていた時代もあったのです。さらに彼らは産業革命以降、その科学技術を駆使し、大きな船まで作って、香辛料の原料になる植物が豊富にいたインド、東南アジア、中南米まで出かけ、そこを植民地にして、香辛料をユーラシア大陸に運んだのです。まさに狩猟民族の末裔です。よその国に行って奪うことなど、当たり前!そんな歴史を持っているのがヨーロッパです。スパイスの歴史を紐解くと悲惨なことが、たーくさんあるのです。まあ、戦争の原点だったかもしれませんね。

 トウガラシだって、ユーラシア大陸に持ち込まれたのが1500年台初め。かのコロンブスが運んだのです。

 というように、香辛料、スパイスには、とてもおもしろいことが満載です。

 で、豚カツにかけるソースは、多くの香辛料から作るわけです。だから、「酸化防止剤抗酸化剤活性酸素還元剤」ということになりますね。

 では、いよいよ香辛料、スパイスを化学してみましょう。

 先ずは、カレーの黄色い色素を作り出すスパイスのターメリックです。ウコンとも言います。

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 亜熱帯性のショウガ科の植物です。その主成分は、クルクミンです。二重結合がいっぱい、さらにはポリフェノール部分もあったりしてね、素晴らしい酸化防止剤、還元剤です。これがカレーの黄色い色素です。

 ただ、漢方薬に使われるとても大切な生姜がとは全然異なる作用です(成分も全然違いますけど)。ウコンの性味は。ですから、身体を冷やします。生姜は温。ですので身体をめます!ですので、冷え性の多い日本人はウコン単独は、私からみると、あまりお勧めではないですね。私には合うと思いますが、もっと良いものが日本の薬味にありますのでね(笑)。

 有機化学的には、赤で囲った部分が過酸化脂質を還元します。

 お次は、クローブです。チョウジとも言います。

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 このスパシスもカレーには欠かせません。このスパイスには、殺菌、防腐作用もあります。私の子供ころ、虫歯で歯が痛むと今治水(こんじすい)を使ってましたが、この中にはクローブから取れる精油が含まれています。主成分はeugenol(オイゲノール)。もちろんポリフェノールの1種です。やはり赤く囲んでいる部分が過酸化脂質を還元してくれます。

 そして、ソースには使われませんが、カレーには使われます。この香辛料はとてもすばらしい!私も大好きです。カイエンペパーこと、トウガラシです。

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 主成分は、ご存知カプサイシンです。化学構造式からも分かりますが、やはりすばらしい酸化防止剤ですね。トウガラシのすばらしさにはもう1つ理由があります。ビタミンCが豊富に含まれているからです。

 ちなみに、トウガラシの仲間は、世界中で100種類以上もあるんですよ。ピーマンやパムリカもトウガラシの仲間です。世界で最も辛いトウガラシは・・・、ハバネロくんですね。辛党の私でも・・・量は食べられませんね。

 余談ですが、私が大好きなラーメン屋さん「かまだや」(札幌市東区苗穂町4丁目5-3)さんにはハバネロが置いてあって、ここの「ナガハマラーメン」(胡桃ペースト入りトンコツ塩ラーメン)に入れると・・・絶品です(笑)。漢方で辛味は肺の「気」を高めてくれるので、私には必須香辛料です。

 胡麻と生姜の抗酸化化合物、セサミノールとジンゲロールの化学構造式は下図通りです。

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 他の香辛料の主成分についても同様です。たくさん記述しても、あまり意味がないと思いますので、香辛料の主成分の化学構造式とその性質についてはここまでにしましょう。

 豚カツの衣の表面についている過酸化脂質をスパイスたち除去するプロセスを図式化してみました。

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 ホンモノの豚カツ屋さんには、白胡麻も置いてあります。理由はこれです。それから、胡麻油って酸敗し難いですよね。理由はこの酸化防止化合物、セサミノールが含まれているからです。ちなみに、私の子供のころの液体油は透明ではなく、やや黄色い色をしていました。精製技術が足りなかったのでしょう。ビタミンE、トコフェロールが除けなかったのです。が・・・、ビタミンEは強力な酸化防止剤でしたね。ですので、昔の油は、腐敗し難かったのです。科学技術が発達すると、純粋な単独の化合物の精製方法がどんどん確立されました。

 しかし・・・、今では、精製砂糖よりも、黒糖やザラメ。精製した純粋の塩よりも、岩塩や天然塩の方がすばらしいことになっていますね。なんでも精製して単品にすれば良いってものではないのです。「過ぎたるは、なお及ばざるが如し!」です。どんどんステキなモノを自分の身の回りに取り入れていける時代です。ホンモノを選べる知識をどんどん集積して、自分で実践して、良きモノを私たちの子供、孫に伝えていく責務があると私は想うのですが、いかがでしょう。

 4回にわたって化学で豚カツを語ってみましたが・・・いかがでしたでしょう?

 かつて、ここまで勉強して私が一番感動したこと・・・、それは、化学を知らない古き人たちが、経験と感で、ホンモノをちゃんと見つけ、実践していたという事実でした。豚カツは日本人向けに、油で揚げたお肉料理としては、最も安全に食べる方法をちゃんと考案していたということ。この事が一番すばらしい!そう思ったのでした。

 化学を知っている私は、先人たちよりも、もっとすばらしい事ができるような気がしますし、そう進んで行けたら良いと思っています。今の私には、これ以上の化学は必要ないのです。それよりも、感性、直観力をもっと磨けば、化学の知識も、もっとステキな物事に使えるような気がします。

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 豚カツ定食とカツカレー、何があっても終生食べ続けますね(笑)。

 そうそう、カレーのお話もいずれしましょう。漢方でカレーを説明すると、これまたおもしろい!

 いずれまた!

 そうそう、実は、最近ですね・・・、業務用の食材を売っているお店で、とてもお安く香辛料を購入することができるようになったので、様々なホールのスパイスをすり鉢に入れ、ゴリゴリさせて、パウダー状にして、マイブレンドのカレーパウダーにして、カレーを作って食べてます(大学で)が・・・、すばらしいですよ。香り、味・・・全てが最高です。もうスープカレー屋さんに行くことはないですね。薬研を使って、自分の薬を自分で調合してる感覚です。最近の私の「イチオシ!」です。

 ちなみに使っているスパイスは、ターメリック、クミン、コリアンダー、カルダモン、トウガラシ、シナモン、オールスパイス、ニンニクです。皆さんもぜひ!

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