植物エネルギー 第358話 ~北海道医療大学・北方系生態観察園の里山化から12年・・~
昨日、北海道テレビHTBの『イチオシ!』に生出演してきました。ご覧になった方、いかがでしたか?私としては・・・あれで結構緊張してるうですよ・・・と言っても最近誰も信用してはくれないのですが・・・(涙)。5月は13日(水)と28日(木)の出演が決まっています。ぜひご覧になってください。
さて・・・北方系生態観察園が春の植物たち(カタクリさん、エゾエンゴサクさん、ニリンソウさん、エンレイソウさん、エゾノリュウキンカくん)の春の祭典です。私は1年で最も大好きな季節です。ピークは過ぎつつあります。これが過ぎるとまた1年待たなければなりません。ぜひぜひ最優先でお越し下さい。
ということで、今日は、北方系生態観察園の歩みをご紹介します。12年前、今は無き恩師の故縣(あがた)先生と私、そして私のところへ通っていた学生たちで始めた北方系生態観察園の里山化。有機化学を捨ててから、一貫してずーっと続けてきた最大の研究テーマが、研究開始後12年の時を経て大きく開花しました。感無量です。
先ずはその歴史を表にまとめてみました。
思い返せば、16ヘクタールの荒れ放題の山林を1週間に2回、5時以上、笹を掻き分けながら植物調査をしたのが1997年春のことでした。笹しかない林床を丹念に見ながら、図鑑とにらめっこ。当時は芽出しで植物の名前が分かるなんてことがなかったですから、花の咲く頃を見計らって5時間以上の笹こぎをして、1株、2株しかない貴重な植物を見つけては、フィルムに修め、1年の年月をかけて分厚い報告書『北方生態観察園実施調査報告書』を作製し、大学事務局と薬学部の各講座に1部ずつ配ったのが最初のイベントでした。とにかく無我夢中ってあんな感じのことを言うのでしょうね。
当時、かつて北海道副知事だった故寺田理事長がOKのサインを出してくださいました。
1999年から4年間、薬用植物園園長を任され、2000年には、北大薬学部の薬用植物園をずーっと管理されて、その年北大を退職された、私の植物の師匠、吉田氏を招聘。植物の知識、里山の管理の仕方を伝授していただきました。今はカタクリ満開の場所もかつては、クマイザサのが繁茂し、カタクリの個体数もごくわずかでした。北方系生態観察園の始まりは私と故縣先生、そしてこの里山作りの実務、教育をしてくださったのが吉田さんでした。
私の後任の現園長の関崎先生もその後、北方系生態観察園の発展にまい進しています。任をおりた私は・・・2003年から春・夏・秋・冬、ほとんど毎日森へ出かけ富士フイルム社製Velvia50に北方系生態観察園内の全ての植物たちの芽出しから枯れるまでをフィルムに残そうと、写真を撮り始めました。カメラの師匠は現在山形市でズテキな薬剤師になった当時写真部の学生だった熊谷仁くんでした。カメラなど何も知らなかった私の師匠でした。
その後、本当に色々ステキな方たちの出会いがあり、富士フィルムフォトサロン札幌で2回(合計5,800名)、そして今年はついに写真家であれば最高峰の写真ギャラリー、富士フイルムフォトサロン東京での写真展を開催するまでになりました。さらに今年3月には富士フイルムフォトサロン仙台と・・・・。このような人生を歩くことができ・・・出会った全ての人に感謝するとともに、思いっきり恩返しをする人生が始まりました。東京では3,800名、仙台では約1,000名。合計すると・・・10,600名の方たちと出会え、全ての人たちから心からの笑顔を見せていただけたことは・・・私にとって何よりの勇気と元気でした。『もう何も怖れるものは無い!』。今はそう思いながら、さらに高いレベルの精神世界を見るためにあらゆる修行を続けるつもりです。
さて、私のメインの研究テーマの里山作りに話を戻しましょう。
いったい何をやっているのかというと・・・こんなんです。
先ずは、林床の植物たちが全て眠りについた10月末から根雪になる11月上旬までに選定バサミでクマイザサを根っこから駆除していきます。
笹刈りを続けること5時間でこうなります。これは、2004年10月末の状態です。
上の写真の場所はその後さらに笹刈りが行われ、下の写真のように、奥までスッキリです。下は2007年ですね。この後、笹の駆除だけではなく、シダ類の駆除、さらには林床に積もった枯れはの掃除なども作業内容に加えています。この斜面、ずーっとカタクリさんがいることを12年前から私は知っていたのです。だから・・・このラインをピンク色に染め上げる森にするのが私の夢でもあります。
さて・・・明けて2005年春には、何もいなかったところがこんなふうになります。カタクリさんはまだ少ないですが、エゾエンゴサクさんはかなりの個体数ですね。ここからがスタートです。森がどんどん豊かになっていくのです。
そして、2009年春には・・・、下から上を見上げました!こんなにカタクリさんが増えています。でも・・・まだまだ株が小さい!あと3年・・・デス。
上から下を見下ろしても・・・、すばらしいですね。何もなかった森がどんどん生き返っています。
昨年笹を刈った場所⇒こちらのブログをご覧下さい。一番トップの辺りはこうです。
ここにはカタクリさんはいません。かつて、泥炭地に客土するためにえぐられているからです。でも・・・笹をあけておけば、きっと色々な植物さんたちが飛び込んできますからね。大丈夫なんです。
ここよりちょっと低いところも・・・こうです。バイケイソウくんの住み良いところなんですね。でもピンク色のカタクリさんがちゃんと・・・。あと3年です。大丈夫!
下から上を眺めてみました。
もうこんな場所だってあるんです。でも・・・ここは2007年に笹を開けたところかもです。
さらに、さらに・・・地面をよーっく眺めてみると・・・、花茎は上がってはいませんが、大きな葉っぱのカタクリさんが所狭しと・・・来年はきっと見事な花を咲かせてくれることでしょう。
さらにさらに・・・地面にはいつくばってよく見てみると・・・、1年もののカタクリさんです。先っぽに豆粒のようなものが着いていますが、これが、前年度蟻さんが地面に播いた種です。発芽して持ち上がっているんですよ。で、もっと驚きなのが、このか細い1本の葉っぱだけで、来年、発芽するエネルギーを光合成によって蓄えるのです。来年1年分だけのエネルギーです!このか細き葉っぱが円形になるのは、この後3年以上たってからです。文献によると・・・発芽から7~8年目までは、光合成によって作られるエネルギー(デンプン)の量は翌年の分しかなく、貯蔵できるのは開花する年あたりからということになっています。
余分な貯蓄はしない。自分が生きるだけの最低量のエネルギーだけを貯金する。子孫を残せるくらいに成長してから、自分のエネルギーを貯槽する。まるで地球に優しい生き方ですね。子供といえども、生まれた後は自分の力で生きていく、そうでなければ淘汰される。地球に優しい遺伝子だけが残されていくカタクリさんの世界からは少しく学ぶことがありそうです。
さらに・・・谷だって・・・こんな植物たちはほとんどいなかったんです。それが・・・12年の時を経て・・・谷全体が黄色になりました。エゾノリュウキンカ(蝦夷立金花)です。写真右奥は笹が残ってますね。今年は・・・ここも駆除しましょう(笑)。
近くに行って見ると・・・さらに心に元気が染みとおってきます。こうです。
いずれにしても・・・12年間かけて愛を込めて育て上げた森。それが北海道医療大学・北方系生態観察園なのです。


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